初夏の晴れた午後、札幌からトランクケースとバッグ一つで東京に降り立ちました。
オーナーの近谷とは高校時代からの付き合いで、付き合い自体はかれこれ15年になります。
高校時代彼は破天荒な性格で、正直仲良くなることは無いと思ってました。笑
只、洋服がきっかけで仲良くなり(このエピソードもまあまあ面白いんでお店で話します笑)、気付けば15年です。
ずっと「いつか自分の店をやりたい。いつか一緒にできたらいいな〜」なんて話していて、僕は一旦洋服屋を離れ、再び洋服屋に戻ってきたわけですが、一旦洋服屋を諦めIT企業に勤めていた時に、近谷から急に「東京で店出すから、来てくれ!」と連絡が来ました。
、、、コイツ、まじでやりやがった。まずそれが本心です。
洋服屋を辞めてからは連絡の頻度もかなり減っていましたが、その連絡をもらった時に嬉しい反面悔しさもありました。
僕は使命感のような(?)ものもあり、彼のお店のオープンを祝いに、軍資金を握りしめて札幌から東京へ向かったのを思い出します。
洋服屋を辞めてから、いつか近谷の店でオープン日に洋服を買うと決め、コツコツと資金を貯めていたので、久しぶりの買い物でもありました。
久しぶりに会う近谷は変わらず、懐かしさと安堵を覚えましたが、お財布は安堵できませんでした、、、。笑
1人の顧客として、応援しようと思い、お店のオープン日から数ヶ月が過ぎていました。
30歳になったタイミングでもあり、自分の人生はこのままIT企業に勤めて、結婚して、、、いいんだけど、何か物足りない。そもそも結婚相手もいないし、、、。
そのようなことを1人で自問自答する事が続いていました。
ただ、そこで思い出すのは洋服屋で過ごした日々でした。
そろそろ、また洋服の軍資金を握りしめて買い物へ行こうかなと思っていた矢先、近谷から突如電話が。
世間話をしていましたが、覚えているのは
「やっぱ一緒にやんねーか?」と。この言葉。
一週間悩ませてくれと言いましたが、次の日にはITの会社を退職する旨を伝えていました。
沸々と湧き出ていた人生に対する悩み、どんな人生を送りたいのか、どうなりたいのか。
「あ〜、やっぱ好きなんだな。」
洋服屋を辞める前の気持ちを私の中の残党兵が、まだ持っていてくれていたようです。
東京駅からトランクケースを引きずり歩いてようやく到着したmax’s tokyo
紆余曲折あり明日からここに立つのだなと思いを噛み締め、店内へ。
真っ先に目に映った一枚のシャツがありました。
皆様こんばんは。上田です。
私が東京に来た日、初めてWYTHEと対面した日の事を思い出しておりました。
予備知識を入れていましたが、近谷から色々と聞いているとお客様がご来店。
店内が多少混み合った時にそのまま接客させて頂いたアイテムがWYTHEでもありました。
私自身も入店と共に目に留まっていたWYTHEの鮮やかなグリーンのウェスタンシャツをオススメ。
久方ぶりにお客様とお話をさせて頂き、予備知識など半分くらい飛んでいきましたが、、、。
私が思うWYTHEの魅力をお伝え出来たかなと思います。
ウェスタンヨークがなく、バックギャザーがついたテンセル素材のウェスタンシャツ。
7つボタン、三本指が入り、襟のロールが美しいインド綿を使用したオックスフォードのB.Dシャツ。
一つ一つ書いていくと、長文になりますが、どれもアメリカの古き良き洋服たちをリスペクトしながら、
ただ焼き増しをしているわけではなく、現代的に着やすいようにモディファイドされていました。
クタクタになるまで着込まれたかのようなフェードした生地などはもちろんのこと、
なんと言ってもオリジナルにはない色味が私の琴線にビシビシと触れてきました。
私が「おっ、、、。」と惹かれてしまう洋服は一概には言えませんが、まずは色味から物色することが多い気がします。
男臭くもあり、少し気が抜けたような、格好良いんだけど、カッコイイではない。そんなトータルコーディネートに着地できるような色合わせが好きな気がしてます。
近谷は格好良い洋服が好きですが、私上田はエッセンスとして少し洒落っ気もあるような洋服が好きなんです。
言葉にするのはなかなか難しいですが、、、。
ここまで書いておきながら、WYTHEってどんなブランドなのかということを書くのを忘れておりました。
元々、RRLで生地開発に携わっていたデザイナー、ピーターが在籍中に自室でB.Dシャツ一型を製作したところから始まるブランドです。
なるほど、、、どうりでどの生地も縫製一つとっても魅力的なわけです。
生地に関して言えばほぼオリジナルで製作するため、WYTHEにしか使えない生地ばかり。
アメリカの西とか東とかではなく、その土地土地で良いと思ったアメリカの洋服からインスパイアを受けて作られるWYTHEの洋服ですが、近谷に何故取り扱いを決めたのか聞いてみると
「RRLやラルフローレンなど様々なブランドがアメリカものを製作する中でWYTHEはシャツや5pocket 、ランチジャケットなど基本のベースがLeeが多いことが珍しいと思ったし、好きなもの(作っているもの)がハッキリしていて好みが似ていた。ネルシャツ、ウェスタンシャツやウェスタンブーツなど。それにオリジナルで生地を製作していたり、色や柄がvintageにもないものもある。コレクションのルックの作り方もとても手が込んでいて、相当な手間がかかっていると思うけど、やりきっていてそれもアメリカらしいなと感じた。アイテム一つずつにフォーカスを当てた時に、世の中にはアメリカ製の靴、アメリカ製のシャツ、アメリカ製の〜などなどたくさんの銘品があるけど、WYTHEは気張り過ぎてないリアルなアメリカを世界観としていると解釈している。着てコーディネートを組んだ時にルックとして完成されているから、vintageやアメリカ製に拘ったアイテムにはないアップデートされた雰囲気も魅力的だと思う。」
1聞くと10聞いたかのような、溢れんばかりの想いを語っていました。
アメリカ製のみに拘らず、デザイナーが求める洋服を製作できる工場を使います。
様々な国で製作されることは、頭でっかちにならず、柔軟な考えを持っていると思いますし、そこも魅力の一つです。
男臭い洋服やファッションに憧れるけど、このアイテムはちょっとなぁ、、、
と思っていても着てみると、その苦手意識があったアイテムもすんなりと受け入れさせてくれる、懐の深いブランドなのかなと思います。
そんな私もウェスタンシャツには少し苦手意識がありました。
vintageのウェスタンシャツも持ってはいますが、レーヨン生地だと洗えなかったり、ダメージを気にして出番のタイミングを伺ったりと、気にすることが多いものもあります。
しかし、WYTHEのウェスタンシャツを着てみるとディテール、色味、生地、、、そしてヘビーに着用出来る。
直ぐに2色購入しておりました。
東京の夏にも快適に着ることが出来るアイテムが多いことも魅力の一つではないでしょうか。
どのように格好よく着るか、まだまだ模索しております。
時にはデニムやモカシンなどを合わせて直球に、時にはスラックスなどを合わせてエレガントに、時にはブルーやグリーンなど色味のあるシャツに緩くネクタイを結ぶコーディネートを。
考えると止まりません、、、。
私自身、max’sの顔役の一つであると感じるWYTHEですが、vintageにはない色味のあるアイテムも多くございます。
max’sの洋服をDavid Hockneyがコーディネートするなら。
私が思うにこの二つは交わることがなかったカテゴライズです。
ですが、その妄想で洋服の合わせが出来る事がファッションの醍醐味の一つでもあります。
ウェスタンシャツを、、、。シャンブレーシャツやネルシャツを、、、。渡された時に彼はどのように着こなすのか。
色味だけではなく、袖のまくり方一つ、サイジングなど、同じ洋服を着ていてもそれら一つで見え方はガラッと変わる。
そう考えると自分の洋服人生はもっと深く広くなっていくものだと感じました。
何に重きを置いて洋服を楽しむかではありますが、私はそんな妄想を日々アップデートしていきたいと思います。
長くて、退屈な話かもしれませんが是非店頭にてお話しさせて欲しいです。
max’s tokyo 上田