2021 年、ロンドンで生まれたConkersは、ゆったりとした暮らしのテンポを大切にしながら、英国の田園風景や自然素材の静かな表情を、確かな思いをもって洋服に落とし込んでいます。派手さを追うのではなく “質感の豊かさ” を深く信じ、日々の生活に寄り添う装いをまっすぐに追求しているブランドです。
その服には、時代を超えて残るべきものだけがもつ揺るぎないタイムレスさがあります。自然素材の手触りやさりげないディテールには、ファストな価値観に流されない確固たる姿勢が宿り、着る人の時間をゆっくりと豊かにしてくれます。Conkersが向かっているのは“organic indulgence”。誇張ではなく、本質から生まれる豊かさです。
ブランドの根には、英国のクラフトマンや職人、そしてミルへの深い敬意が息づいています。伝統的な製法や天然素材を軸にしながら、そこに現代の感覚を確かな手つきで重ねていく。その態度は服の佇まいにまっすぐ現れています。シャツやパンツ、フードコートなどクラシックなルーツを持つアイテムたちは、古い意匠のいいところを丁寧にすくい取りつつ、今という時代に着る意味をしっかりと考えられています。着るほどに体へ馴染む心地よさは、その誠実さの証のようです。
英国のクラフトと現代性が絶妙な距離で交わり、流行の速度とはまったく別のリズムで“心地よい強さ”を生み出しているのです。
Conkersは飾り立てるのではなく、暮らしの中で服が果たす本当の役割を丁寧に見つめ、誠実につくり続ける。そんな揺るぎない熱を内に秘めたブランドです。
Conkersの姿勢は、服づくりの細部だけでなく、色づかいにも息づいています。


今回の入荷を開封したとき、まず「この色はやっぱりConkersならではだな」と思いました。どの色も主張しすぎず、けれどしっかりと存在感を持っている。

深い黒は、棚に並べた瞬間から輪郭がぐっと締まるのに、光が当たるとふっと柔らかさが出る。

ブラウンは土の温度を思わせる落ち着いたトーンで、個人的に好きなブラウンです。

そして“Sloe”の灰みの青は、英国らしい曇り空の陰影を思わせる静かな深みがあって、この色を楽しめる方はきっとConkersと相性がいいと思います。
どれも華やかではないのに、自然光の中でふわりと存在感が浮かび上がる。店頭で見ても、ハンガーから外しても、その良さが崩れないんです。
そして、こうした色との向き合い方も含めて、Conkersは “生活者のための服” を形づくっています。
機能を声高に語るわけでも、トレンドを追うわけでもない。
毎日手が伸びる心地よさや、着るほどに増す素材の表情や実用性。
そうした “暮らしの温度に寄り添う良さ” が、じわりと広がっていくのがブランドの魅力だと感じています。
Conkersの服は、日常を大げさに変えるのではなく、日常をていねいに受け止めてくれる服。今回の入荷で、そのことをあらためて実感しました。
そして実際に日常で袖を通してみると、Conkersというブランドが “見た目の静かさ以上の強さ” を持っていることに気づきます。
重くないし、気負わないし、奇抜でもない。
それなのに、確かなデザイン性があります。
Conkersの服と向き合っていると、まずこの “さじ加減の妙” に心を掴まれました。
生地だけを見るといなたい表情のものもあるのに、袖を通すと都会的に見える。
シンプルなのに、ただのベーシックでは終わらない。
その絶妙なバランスが、このブランドの魅力だと思います。
古着が持つクセや時間で育つ色味や生地の奥行き。
ブランドのつくる構築的なムードや、意図的なバランスの崩し方。
Conkersは、その“二つの面白さ”を自然に結びつけてくれる。
古着にも、既存のブランドにも合う。
そのどれとも違うのに、どちらの真ん中も自然と通っていく。
デザインのソースは無骨さがあるが着ると野暮ったくならない。
このバランスもまたConkersの魅力のひとつです。
そして生産の背景として。
イギリス製のボタン、メゾンが使うミルや縫製工場、アイテムごとに変える英国各地の工場。

ただ“英国らしい雰囲気”を狙うのではなく、細かい部分ひとつひとつに実体があります。
そして、そういう服づくりをしているのに、価格が妙にピュアです。
背景の重さを誇るでもなく、見た目の高級感だけを追うでもなく、
“生活者が等身大で袖を通せる服”のまま成立しています。
そのどれにも似ていないのに、
そのどれとも自然につながっていく。
これこそが、Conkersが作っている“リアルな日常着”だと思います。
古着と新品、職人性と現代性、クラシックと最先端、生活とファッション。
その隙間を、無理なく、綺麗に、すっと埋めてくれる存在。
大きなロゴはない。
雄弁なデザインもない。
それでも服そのものの精度で、しっかりと存在を残していく。
上田 剛右



