F.LLI GIACOMETTI

max's Ebisu

「イタリア靴って、正直ずっと“遠い世界”だったんだよね。レユッカスを履いてみて、扱ってみて、その一部に触れた。
で、ジャコメッティの工房の背景とか、日本でずっとブランドを支えてきた代理店の方の話とか、展示会で見たモデルの多さを体感して、
ああ、この世界ってこういう奥行きなんだなって改めて思った。
ジャコメッティってさ、革の種類がとにかく多い。エキゾチックも普通にあるし、ソールの選択肢も広いし、モデルもめちゃくちゃ豊富。
その幅の広さがあるから、毎年変わる洋服ブランドのコレクションとか、その時に自分たちが提案したいコーディネートに全力で当て込める。」

ジャコメッティをお店に置きたい理由を近谷に聞いたらこのように言っていました。

まだまだ話してくれたのですが、ここに書くと僕が書くスペースが無くなってしまいそうなので、気になる方は本人に聞いてみてください。

靴の話になると、どうしても言葉が慎重になります。

革靴は、正解のない世界です。
価格でも、知名度でも、仕様でも決まらない。

履く人の生活や癖、温度、歩き方まで全部ひっくるめて、やっと「これだ」と言えるものに出会える。
面倒だけれど、それが面白いところでもあります。

見た目の好みで選んでも、履けば安定しないことがある。

作りが良くても、気分が乗らない日がある。

高ければ良いわけでもなく、ブランド名が歩いてくれるわけでもない。

結局のところ、自分の生活にしっくり来るかどうか
それが靴の価値を決めると思います。

max’sが F.LLI Giacometti を扱うと決めたのも、この靴がその”生活の重さ”にしっかり耐えてくれると感じたからです。

レユッカスを扱っていると、革靴に対する基準が自然と引き上がります。

極限まで研ぎ澄まされたライン、緊張感のある佇まい、

履いた瞬間に空気が変わるような存在感。

あの靴が店にある以上、“もうひとつの軸になり得る靴”でなければ意味がないと思っていました。

そこで出会ったのがジャコメッティ。

近い方向を向いていながら、レユッカスとはまた違うアプローチ。

同じカテゴリーに見えて、足元に生まれる姿勢やムードは全く違います。

店の空気を壊さず、しかし確実に幅を広げてくれる存在。

そう感じた瞬間、扱う理由がストンと腑に落ちました。

F.LLI Giacometti(フラテッリ ジャコメッティ)は、

イタリア北部・ヴェネト州の山岳地帯に工房を構える

シューズファクトリーです。

創業以来、少量生産を守りながら、

登山靴づくりで培った技術をベースにした堅牢な靴づくりを続けています。

彼らの特徴は、世界各地の伝統的なフットウェアをリサーチし、その構造や意匠を細かく分析したうえで現代の木型と製法に再構築するサンプリング能力の高さです。

木型の精度、革の選定、ハンドソーンを中心としたイタリアらしい緻密な手仕事が組み合わさることで
実用性・ファッション性・独自性三要素がバランス良く成立していることがブランドの魅力だと思います。

伝統的な靴づくりに敬意を払いながら、イタリアの技術で現代の足に合わせてくる。

品や色気があるのに、どこか野性味もある。

古着と新品が自然に混ざり合うmax’sの空気に、

この靴の存在感はしっくり馴染みました。

靴は“正しさ”で選ぶものではありません。

自分が歩けるかどうかで選ぶものです。

履き皺の出方。

長時間歩いたあとの疲れ方。

脱いだあとに、もう一度履きたくなるか。

スペックより、そういう“生活の中の細かい実感”こそが靴の本質。

だから、自分がリアルに履けると思えた靴だけを仕入れています。

いつも通りの服装に気負わずに履いて欲しいです。

その基準が甘いと言われたとしても、店としてはそのほうが誠実だと考えています。

“FG424 – Slip On”

Fabric / Eel Skin, Velvina

Color / Rouge, Black

Size / 41, 42, 43, 44

“FG166 – Gurkha Sandals”

Fabric / Carf

Color / Maron

Size / 41, 42, 43, 44

日付変わって今日は雪の予報らしい。

それでも紹介したい。

気分を前に進める一足が、ちょうど届いたんだ。

上田 剛右