レユッカス(Le Yucca’s)は、日本人デザイナー・村瀬由佳氏が手がけるブランドです。
イタリアの展示会で出会った〈エンツォ・ボナフェ〉の靴づくりに深く惹かれ、そのクラフトマンシップを学びながら、自分のデザインとして昇華させてきました。
ボローニャの老舗〈エンツォ・ボナフェ〉は、ローマ法王が愛用していたほどの歴史ある名門。
今もハンマー叩きやコテでの目付けといった手間のかかる伝統的な製法を守り続けています。その“手で作る”という姿勢は、レユッカスの靴づくりの根幹にも確かに息づいています。
履き心地を支えるのは、人の足の動きを徹底的に考え抜いて作られた独自の木型。
アスリートシューズの設計経験から得た知識を基盤に、骨格や関節の動きに合わせた形状を追求し、時間をかけて完成されたフィット感は、快適さと美しさを同時に成立させています。
デザインは誇張を避け、あくまで控えめ。
それでも確かな品と存在感があり、履くほどにその人のスタイルに馴染んでいく
それがレユッカスが持つ普遍的な魅力です。



今回のUチップは、その魅力をより際立たせる一足だと思っています。
チャッカブーツほどの高さはないものの、ローカットとも呼びきれない絶妙なバランス。まるで“ハーフチャッカ”のような独特の佇まいで、他に比べる対象が見つかりません。
アメリカらしいUチップの無骨さも良いのですが、ここにはイタリアが解釈したアメリカらしさがある。
品の良さの中に、男らしさとほのかな色気が同時に宿っていて、その空気感が実にレユッカスらしいと感じています。

ノーズが長く、甲からつま先にかけてやや低め。コバが過度に張り出さず、控えめに整えられていることで、良い意味で少し華奢に見える瞬間がある。
けれど弱さはなく、むしろスラッとしたそのスマートさが男らしさをより引き立てています。




派手ではありません。しかし、パンツのシルエットをぐっと良く見せ、装い全体を自然と引き締めてくれる。
ただそこにあるだけで、服の印象が整う。そういう靴です。


そして後ろから見た時の佇まいがとても好きです。
踵まわりの丸みや立ち上がりがつくる陰影に、ほんのわずかな色気が宿り、歩く姿を静かに美しく見せてくれます。

“Y33020”
Fabric:Vitello
Color:Black
Size:41, 42, 43, 44
Hand made in Italy
Price ¥214,000 +tax
こういう靴は、出会ったタイミングがそのまま“買い時”になることが多いと思います。
大量生産ではなく、一足一足が丁寧に仕立てられているからこそ、同じものにまた出会える保証はありません。
履き込んだ先にどんな表情を見せるのか、自分の生活の跡がどんな風に刻まれていくのか。
そうした未来の姿を想像するだけで、この一足と過ごす時間が少し楽しみになります。
max’s Ebisu 上田



